チェリッシュ
コーラスで2006年6月号~8月号で掲載。
あらすじ
亡き母のルームメイトで親友だった拓とそのパートナー零司に育てられた千紘は、
大学生になり、入部したサークルで元カレの津田と再会する。
再び惹かれそうになるものの、家族が原因で振られた苦い過去があるので…。
主な登場人物
小宮山 千紘(こみやま ちひろ)
3歳の時にシングルマザーの母親を病気で亡くし、それ以来、母親の親友だった拓と、3年後に拓が得たパートナーの零のゲイカップルによって12年間育てられた。春から母親と拓が出会った大学に入学し、大学生になる。
津田 真教(つだ まさのり)
千紘の元カレ。中学生の時、映画という共通の趣味がきっかけとなり千紘と付き合うことになる。しかし千紘から千紘の両親のことを告白されて間もなく台湾に引っ越す。
小宮山 拓(こみやま たく)
千紘の育ての親であり、母親の親友。出版社勤務。千紘からは拓ちゃんと呼ばれている。
零司(れいじ)
千紘の育ての親。2丁目で拓と出会いパートナーになる。家電メーカー勤務。千紘からは零ちゃんと呼ばれている。
中川 遥(なかがわ はるか)
千紘の母親。大学生で未婚の母になる。癌になり千紘を拓に託し亡くなる。
ネタバレ・感想
チェリッシュの試し読みができます!お先にどうぞ。
ここからネタバレ・感想を含みます。ご注意下さい。
●第1話
ゲイカップルの両親に育てられた千紘は大学生になり、元カレの津田とサークルで再会する。
再び惹かれそうになるものの、両親のことで振られた過去を思い出し、
どうにもならないと考えるが…
今から10年以上前とはいえ、LGBTという言葉が使われだした頃と同じ時期ですね。
拓×零…という認識で合ってると思うんだけど(逆ではないと思う、うん)
でも、行ってらっしゃいのチューの体勢が逆っぽくも見えてよい!(感想そこ?笑)
見学だけ→入部決定はあるあるパターンなのかな?
1つだけ気になるのは、歓迎会で乾杯しているけど、
千紘はノンアルコールだよね?だよね?(笑)
2003年からノンアルコール飲料が本格参入しているから、セーフ…と思いましょう!
元カレの津田くんを詳しく覚えてる拓零コンビが可愛い!
そして、回想の中の拓零コンビも可愛い!
表向きは千紘は拓ちゃんの実子で零ちゃんは拓ちゃんのイトコになっている、と。
隠さなくてもいいけど、その方がスムーズか…。
周りにいないので、この点は何とも言えませんが、
きっと本人たちにしか分からない大変さが、想像以上にあるんだろうと思います。
「ごめん、無理。生理的に受けつけない」
手紙とは言え、自分の大切な人たちを、こんな風に言われると、
そりゃ泣きたくもなりますわ…。
ここでの零ちゃんに、ママみを感じるw
拓の回想で、遥がこざっぱりした性格で好感持てる。
3ページで拓と遥の関係性をさらっと描ける吉住先生すごいな!
●第2話
拓が男と密会している情報を得た零司は拓と別れるかもしれないと不安になる。
しかしその男は…。一方、千紘と津田はお互いに今、付き合っている人がいないことを
知る。ある日、津田から再び告白されるが…。
中学校時代の初デート♡
超ペアルックが微笑ましい!…最近、周りでペアルックなんて見ないかもなー。
大学生になった津田と千紘の、さりげないペアルック程度なら、見るか。
さりげない感じでも、コーディネートが上手くまとまったカップルを見るのは好き(笑)
2丁目のバーでの密会は怪しいと(笑)
波風を立てるのは周りの人たちってパターンだな。
すでに、津田君は千紘に傾いてるよね~うん。
真剣に心配をしてくれる感じがいい!
「ああ大丈夫行くよ 出張ってことにするから」
こんなセリフを電話の相手に言ってるのを聞いたら、
そりゃ、別れるかもしれないって不安になるよね…。
拓ちゃんに限って絶対ないと言える千紘もすごいけど、
自分がちゃんと聞く、顔をみて話したいから、と決心できる零ちゃんもかっこいいな!
はい、津田君の告白キタ!
でも、手紙の内容だよね、ひっかかってるのは。
手紙に書いた、気持ちが変わってないことを確認した千紘は…?
最後のモノローグの、
たとえ 私も好きでも―
が印象的です。そりゃね…再会してもあんだけ気が合うとね、うん。
●最終話
津田の告白が頭から離れず、気分転換に下のリビングに降りると、
拓と零が話をしているのが聞こえる。その内容は、千紘の父親に関する話で…。
改めて拓と零の2人が大切だと感じた千紘は、これ以上津田を好きになる前に、
サークルを辞めて忘れようと決意するが…。
零ちゃん、拓ちゃんを問いつめる!(笑)
バーで密会し、出張と偽り一緒だった男の正体は…?
なるほど、千紘の実の父親を探すための探偵か…。
「ううん 行かない 必要ないよ 私の両親は拓ちゃんと零ちゃんだもん」
実の父親、血の繋がりより、他人でも愛情をもってずっと育てられたんだもん、
このセリフを即答できるって、愛情をたくさん受けた証拠だ…。
零ちゃんの浮気疑惑即別れ、の感覚に驚く拓ちゃん(笑)
「だってもし本気だったら別れるしかないじゃないか!」
…零ちゃんは好きな人のために身をひくタイプか。
そして、拓ちゃんはモテるんだね…2丁目でってことよね?(笑)
千紘が拓零の両親の方が大切ってことで、サークルを退部。
そして、千紘の前に現れる津田の家の隣に住んでいる同い年の幼馴染みの女の子の藤森さん。
藤森さんによる中学校時代の回想。
そりゃそうだ、幼馴染みポジションなら津田くんのことずっと好きだったろうし、
突然、千紘と付き合いだしたら横取りされたって思うよね~
千紘から津田くんに宛てた手紙と、津田くんから千紘に宛てた手紙のどちらも
取ってしまったあげく、ちゃっかり中身を読んでしまう藤森さん(笑)
結局、横取りされたことと手紙の内容の2人の真剣な気持ちから惨めな気持ちになり、
千紘が津田くんからの手紙だと思ってたのは、藤森さんが筆跡をまねて書いたものである、と。
謝罪と共に、その時の手紙を受け取る千紘。
果てして、考え方が変わってないという津田くんの手紙に書かれた気持ちとは?
その手紙を読み、千紘はどう行動するのか?
…中学生でこの手紙を書けるなら立派なもんよ。
ところ変わって2丁目のバー(笑)
あれ?探偵の及川くんも、もしかしてソッチの人なのか?ほぅ…?(笑)
そして、拓ちゃんの回想。
遥が愛していたのは本当は、千紘の父親ではなく…。
そっか…そうなのか…でも遥さんは、亡くなる最後まで幸せだったと思うな。
最後は、拓零のほっこりシーンと千紘のほっこりシーンで終わり!
ハピネス
コーラス2006年1月号、2月号で掲載。
吉住渉先生の初のコーラス作品。
主な登場人物
赤津(あかつ)
SA出版勤務。文芸部に配属され3年目。装丁の仕事で嗣美と知り合う。唯花のファンだった。
栢野 嗣美(かやの つぐみ)
小西デザイン勤務。高校卒業してすぐに産んだ小学校2年生になる息子がいる。
今は1人で仕事と子育てを両立している。
悠太(ゆうた)
嗣美の息子。歳の割にしっかりしている。
武藤 将士(むとう しょうじ)
デュークというバンドのボーカル。バンドではショウ。
今 唯花(こん ゆいか)
露出度高い衣装が売りのシンガー。最近、ショウと入籍した。
あらすじ
コンビニで唯花が表紙の水着グラビアを手に取った赤津は、隣にいた小学生の男の子もその
雑誌を見ていたことに気づいた。ませたガキかと思いきや、その子は栢野の息子だった。
女手一つで仕事と子育てを両立させていることを知った赤津は、徐々に栢野に惹かれていく。
ある日、酒の勢いで「キスしてくれたら許します」と栢野に言い、冗談で済まそうとしたが、
本当に栢野からキスをされて…。
ネタバレ・感想
ここからネタバレ・感想を含みます。ご注意下さい。
●前編
コンビニで堂々と小学校低学年の男の子がグラビア雑誌を見ていたら、
わたしも凝視するかもしれない(笑)
できちゃった結婚で産んだ子だから、18で産んだとして、栢野さんは26歳か。
赤津くんは…25になる歳なのかな?
「パパはお星さまになったんだ」
はい、この悠太くんの発言で、勘違いする赤津(笑)
悠太くんは、大人びている設定なのかと思ったけど、
ちょいちょい本来の子供らしさがあって可愛い。
ペンギンが好きなところとか、ぽいぽいとかしゅしゅーとかの擬音語を使ったりして可愛い。
無理な仕事を頼んでしまったお詫びとお礼に食事に行く赤津と栢野。
酒の勢いで、赤津のことをいじられキャラが似合う感じ♡と言ったので、
プチ傷ついた赤津は、
「…キスしてくれたら許します」
…栢野さんの性格的に、さらっと流すイメージだったけど、
さらっと口にキスをして、おぉ!と思ったw
(まぁ…後々、酔っぱらっていて気が大きくなっていたみたいですが)
こんな美人さんに、さらっとされたら、そりゃ赤津は、仕事も手がつかなくなるわ…。
思い切って栢野さんに告白するも…ごめんなさいか。
しかし、たまたま栢野さんの家で見たアルバムの旦那の写真と、
唯花の写真集の宣伝を見て、赤津は、唯花が結婚した相手が、
栢野さんの旦那であることに気づき思い出します。
不倫からの略奪婚か…それで悠太が唯花のグラビアを見ていたんじゃなくて
父親を奪った女として見ていたのかと納得。
それを確かめるべく、振られたのにまた栢野さんの家に行く根性がすごいよ赤津(笑)
案の定、悠太くんは、
「うそはついてないもん 売れているゲーノー人のこと星(スター)っていうんでしょ」
…なるほど。いや、なるほどじゃないか(笑)
赤津は、栢野の旦那さんが亡くなっていると思って、
勝てないのかもと考えてたけど、栢野さんを傷つけて棄てた男には負けないと再度告白。
…ただの年下可愛がられワンコキャラかと思いきや、なかなかカッコいいぞ!
しかし、告白したのもつかの間、栢野さんの家のチャイムがなり訪ねてきたのは…。
●後編
赤津のデュークのショウを見た感想が「あのうるさそうなアタマ…」っていうコメントが
普通っぽい人のコメントでいい(笑)
元夫と一緒にマンションから帰るハメになるけど、不倫しておきながら、
別れる決心もないまま、できればこのまま…という考えはよくないよなー。
だけど、赤津が栢野の彼氏に立候補中と聞いて、
「そっか!頑張れよ!」
と明るくガッツつきで言うキャラは嫌いではない(笑)
ショウさんからの話で、栢野さんはサバサバ系の大人な女性なのかと思っていましたが、
赤津に本音を話しているのを聞いて、不倫されて離婚なんて、
やっぱり、ですよねー、そんな簡単な話じゃないですよねー、
なるほど、普通にするのが栢野さんのプライドなのかと感心してしまいました。
それでも引かずに押す赤津、いいぞ!(笑)
まぁ、現実的に考えて、リアリストな考えの栢野さんの意見はもっともだけど、
好きという気持ちを否定されたくない赤津の意見もすごく分かる。
「だから最初から拒否しないで ちゃんと見て僕の本気をゆっくりわかって下さい」
「それくらい いいでしょ?」
これは、もし自分がシングルマザーだったら嬉しいというか、
すぐに決断を迫られている感じがしなくていいかも。
…やるな赤津、ワンコキャラだとばかり思っ(略)
そして話は、唯花さんが学校帰りの悠太くんを、パパが呼んでいるという理由をつけて
連れ去るという事件が起きます。
唯花の想い、悠太の想い、赤津の想い、栢野の想いが、それぞれの立場で交錯し…。
…1つだけ言うなら、唯花さんが悠太くんに言う言葉はズルいや。
涙目になっちゃったし、相手はママ想いの子供だというのに。
まとめ
2011年より「コーラス」から「Cocohana」に雑誌名が変わりましたが、
吉住先生の初コーラス作品のハピネスと、その次の連載のチェリッシュが1冊のコミックスに
まとめて入りました。
裏設定?として、拓が務めている出版社とは、
赤津が務めているSA出版で同じという設定があるそうです。(それだけでらしいですが)
わたし世代からすると、吉住先生はりぼんのイメージが強かったので、
20代設定の働いている女性や、内容的にも大人向けな漫画を読めて楽しかったです。
吉住先生に関しては、どこまでの作品をりぼん本誌で読んだか覚えてないのですが(笑)
中高になっても、そして大人になっても、吉住先生の作品だから買う…というようになりました。
作家買い?漫画家買いとでも言うのでしょうか。
だから、全然話の内容を知らずにいきなりコミックスで読むのでいつも新鮮です(笑)
りぼんの話のテイストとはもちろん違いますが、やっぱり吉住先生の絵は好きだな、話ももちろん。
個人的には、チェリッシュの方が好きです。
大切な家族と、大好きな人、天秤にかけるじゃないですけど、考えさせられました。
ヒロインの相手として、2つの作品どちらの男性も一途系なのも良かったです!